毎年、ウンブリア州の小さな村、カステッルッチョディノルチャを訪ねています。野の花がたくさん咲き誇るとても美しいところなのです。広大な平原は、するどく赤いケシ、ラピスブルーのヤグルマギク、温かい黄色のレンズ豆、それからエメラルド色のアルムなど、カラフルな草花によって豊かに彩られているのです。
写真家ならば魅了されない者はいないと言っていいほどの謎めいた美しさで、しかもそれは時間の流れとは断絶されたかのように、いつも変わらずあるのです。それはまるで魔法のようでもありますが、その背景には人々の努力と地球の寛大さの結果に他ならないのです。
そんなとき、”可能な限り最高の機材を持って撮影に行ってきてほしい”というアサインメントを受けました。。私はX-T3と新しいズームレンズXF16-80mmF4を選びました。非常にコンパクトな鏡筒のなかには、宝石とでもいうべき光学ガラスが詰まっています。軽量で汎用性があり、敏捷な撮影スタイルを可能にしてくれます。近接は35 cmまで寄れます。おかげで、大きなものから小さなもの細部まで、なんでも写すことができます。手ブレ補正機能は非常に優秀で、フリーハンドで静止画もビデオも安定して撮ることができました。どんな光のときでもシャープでクリアな撮影ができたのです。
昨年、カステッルッチョでは、自然の美しさと厳しさを物語る事件が起きました。大地震がこのカステルッチョを襲い家屋、農場、道路を破壊し尽くしたのです。しかし、カステルッチョの自然も人々も変わりません。美しい花の絨毯は今年も咲き誇ります。そして、この村を愛する人々は希望を胸にひめながら昔から伝わる生活を取り戻すべく、今まで以上に強く生きているのです。
このページに掲載されたイメージは全てX-T3とXF16-80mmF4 R OIS WRで撮影