GFX100RF x ジョン・セント

2025.04.02
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GFX100RFのインプレ – by John St @giant_evertonian

私にとってストリート写真と富士フイルムとの物語は、2018年にコーヒーの写真を撮ることで始まり、ストリート/アーバン写真のジャンルにたどり着きました。コーヒーと富士フイルムのカメラは私にとって、ストリート/アーバンのスナップ写真を作り出すために常に密接に結びついています。

私のX-H1、X-T3、X-E3、X70、そして最近加わったX-T5が大好きで、他の富士フイルムユーザーと同じく熱狂的な大ファンです!これらのカメラは決して完璧ではありませんが(完璧なブランドなどあるのでしょうか?)  、完璧にきわめて近いと感じています!富士フイルムの使いやすさ、色彩科学、コミュニティを重視する文化を加味すれば、完璧なカメラと呼ぶにふさわしいのかもしれません。

富士フイルム・オーストラリアから連絡があり、私の故郷である南オーストラリアのアデレードで新しいフラッグシップのレンズ一体型カメラ GFX100RFを試す機会をいただいたことは大変名誉であり、(正直に言うと)少し驚きでした。最新のGFXをストリート写真で試す機会をもらえるということ?もちろん、喜んでお受けします!

GFXシステムは風景やポートレート/スタジオ作品など、異なるジャンルにも適していると言えますが、ボディが大きく、レンズも重いため、何時間も街を歩き回るのには向いていませんし、大きくて目立ってしまうため何気ない瞬間を捉えることが難しいです。

GFX100RFを初めて見た時、革新的だと感じました。中判カメラがストリートでのスナップ写真には向いていないというウワサ(そう思われている)に対抗するつもりでした。新しく美しいGFXが真相を暴く手助けをしてくれるでしょう。

画像:クリスチャン・チッチーニ

デザインと美しさ

ほとんどの人が富士フイルムのカメラは美しいと認めるでしょう。GFX100RFも例外ではありません!富士フイルムでデザインを担当した人は、素晴らしい仕事をしました!

「less is more(少ないほうが豊かである)」という言葉を耳にしたことがありますが、GFX100RFはミニマリズムにおける美そのものです。富士フイルムは中判センサーを格式と洗練さを漂わせた小型のボディに搭載しました。撮影中、道端にいた人々から、カメラが美しい、という嬉しいコメントを数えきれないほどもらいました。

富士フイルムは、GFX100RFを作るために一切の費用を惜しみませんでした。ボディはアルミブロックの削り出しで、重さは約735gです。カメラはクラシックなレンジファインダー形式で、鮮明な0.5インチ・576万ドットのEVFを搭載しており、細部をはっきりと見ることができます。

ミニマリストでスリムな本体なので、グリップは少し浅めです。大きな手の方は持ちにくく、長時間の撮影は難しいかもしれませんが、美の追及には常に妥協が必要です。富士フイルムのカメラの特長として有名なシャッタースピード/絞り/感度の独立した物理ダイヤルは(私のような)マニュアル撮影をするユーザーにとって、素早く調整できる利点があります。また、カメラにはカスタマイズ可能なボタンやレバーが多数あり、オプションも豊富で、自分の思い通りにカメラを設定できます。

画像:クリスチャン・チッチーニ

後部のチルト画面はとても便利です。5階の駐車場から安全バー越しに撮影する際、役立ちました。腰より低い位置や歩道の高さで撮影する際にも便利です。しかし、 X-T5 のような縦向きチルトはできないため、実際には横向き撮影でしか使用できないという欠点があります。

画像:クリスチャン・チッチーニ

35mm f/4.0単焦点レンズと 102MP 中判センサー

見た目からして、このカメラはしっかりと仕事をしてくれそうです。ただ、見た目だけでは美しい画像を生み出すことはできません。富士フイルムは、そこもしっかりと押さえています!

GFX100RFの中核は、高速のGFX 102MP CMOS IIセンサーで、シャープな35mmF4の単焦点レンズが組み合わされています。レンズは短く、カメラ本体からの突出量はわずかです。美しい角型のレンズフードを取り付けるときはアダプターも取り付ける必要がありますが、カメラをホールディングできる場所が増えるので、私にとってはあまり問題ではありませんでした。

リーフシャッターによって、ほぼ無音の動作を実現するだけでなく、従来のフォーカルプレーンシャッターよりも振動が抑えられます。

F4-22の絞り範囲は、十分な被写界深度の選択肢を与えてくれました。私は通常、F5.6からF13の範囲で撮影していますが、画像は非常にシャープでした!しかし、F4の開放絞りは夜間での撮影には不向きだと感じました。私は手ブレを起こしやすいほうなので、ISOを3200程度に保ちながら速いシャッタースピードを維持できるよう、もっと明るい絞りが選べるとよかったです。とはいえ、他の多くのユーザーには問題ではないかもしれません。

最後に、35mm単焦点の焦点距離は、シーンやストーリー、決定的瞬間を捉えるために、撮影者に十分な余裕を与えてくれます。中判センサーはすべての詳細を捉えるだけでなく、ストリート写真の撮影で被写体に近寄れないときでも、トリミングに十分な解像度で撮影できます。

画像:クリスチャン・チッチーニ

オートフォーカス

GFX100RFの内部には、富士フイルムがAF速度と精度の両立を掲げているX-Processor 5が搭載されています。

当初、X-Processor 5が102MPの中判センサーにどのように対応するかは予測できませんでした。ですが、私の懸念は単なる思い込みだったようなので、とても嬉しく感じます。AFはほぼ完璧に機能し、撮影を試みたあらゆるものを難なく撮影できました。ストリートでは物事が早く進み、シャッターを切るためにほんの一瞬の間しかないこともあります。決定的な瞬間を捉えようとカメラを構える場面が何度もありましたが、100回中99回はカメラが焦点を捉えてくれました。焦点を外した場面では、私が反応するのが遅かったか、適切な設定(たとえば、マニュアル撮影でシャッタースピードが遅すぎた)をしていませんでした。

左右両方の目と顔の検出機能、さらに富士フイルムのAI被写体検出機能も搭載されており、自動認識と追跡が可能な対象(車、鳥、犬、自転車など)を選択できます。私にとっては使う機会は多くありませんでしたが、試しに使ってみたところ、良い結果が得られました。

画像:ジョン・セント

画像品質

GFX100RFの際立った特徴は、GFX 102MP CMOS IIセンサーです。

このカメラ、特に35mm単焦点レンズとの組み合わせによって撮影された画像の品質には驚かされました!そのディテールは、今までに経験したことのないものでした。色合いは美しく、鮮やかでした!

102MPの大判センサーを搭載することには多くの利点があります。たとえば、大きな看板用のポスターを印刷する際に画像を拡大することができたり、高い品質とディテールを保ったままトリミングをすることができます。

しかし、欠点もあります。大きなファイルは、多くのストレージスペースを消費します。私のように、RAWとJPEGの両方で撮影する場合は、さらに多くのスペースを必要とします。そのため、大容量(少なくとも128GB)で高速のSDカードを用意する必要があります。私の場合、ストリートで撮影するときに連写モードを使用しないので問題はありませんでしたが、SDカードに画像を書き込む際のバッファリングによる遅延に関して認識しておく必要があります。すべての画像を保存するために、適切なサイズのハードディスクドライブも購入する必要があります。GFX100RFは画像品質が素晴らしいので、たくさん写真を撮ることになるからです。

画像:ジョン・セント –
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画像:ジョン・セント –

GFX100RFのその他の要素

  • ワンタッチで操作できる内蔵NDフィルター:明るい日差しの中でスローシャッター撮影ができたので、この機能が特に気に入りました。すべての富士フイルムカメラに搭載されてほしい機能です。頻繁に使うことになりそうです!
  • デジタルテレコン切換レバー:ボタンを左右に動かすことで35mmの焦点距離を45/63/80mmに変更できます。トリミングすることによって焦点距離が長くなったように見えるというものですが、中判センサーは十分な画素数があるため、高品質の画像を実現できます。
  • アスペクト比切換ダイヤル:9つのアスペクト比を切り替えることができ、自分の好みやスタイルに合わせた画像を作成できます。
  • デュアルSDカードスロット:ファイルサイズが大きいため、これが必要です!
  • およそ20種類にも及ぶ富士フイルムのフィルムシミュレーションにより、あらゆる状況に合わせて見た目やスタイル、雰囲気を素早く変更できます。
  • 防塵で厳しい環境にも耐えられ、-10℃の寒さでも機能します。

まとめ

富士フイルムGFX100RFは単なるツール以上のものです。これはハッキリと言えることです。存在感とスタイルを兼ね備え、洗練されたエンジニアリングと洗練された職人技の結晶です。高品質の素材から直感的でカスタマイズ可能な操作部に至るまで、すべての要素がこのカメラを卓越したものにしています。

ただ、その美しい見た目だけに騙されないでください。洗練された外装の下には、目の肥えた写真家の要求にも応えるトップクラスの性能を持ち合わせています。高速のGFX 102MP CMOS IIセンサー、俊敏で信頼のおけるオートフォーカス、低光量にも対応できる優れた性能を備えています。このカメラはすべてのディテールを正確に捉えることができます。

世界を旅している時やカジュアルなストリート写真の瞬間を捉える時でも、コンパクトな作りのおかげで、スマートで洗練された見た目でありながらも、容易に撮影できます。優雅な見た目は、プロの撮影でも、気まぐれな旅に出かける際にも、あらゆる環境に溶け込みます。

洗練さとスタイルを実現するには費用が掛かります。GFX100RFも例外ではありません。しかしGFX100RFは、高級カメラ市場で今までにない価値と性能を提供できることでしょう。