
X-E5×藤本遥己
私が写真を撮る上で大切にしていることは、その瞬間に自分が”ハッ”としたかどうかという事。
ほとんどは、その”気付き”で撮影していると言えるだろう。
自分の心が動いた瞬間にシャッターを切っている。
狙っているのではなく、無意識に近い、そんな感覚だ。
今回、X-E5と共にパリに旅に出ることにした。
このクラシックな佇まいのカメラと、フランスの街並みがどういう化学反応を起こすのか、
そんな気持ちでパリの街をこのカメラでスナップしてみたいと思った。



私は普段からX-Pro3やGFX50Rを仕事やプライベートで使用しているので、同じレンジファインダースタイルのX-E5はすぐに手に馴染んでくれた。

パリのシンプルな朝食で腹ごしらえ。
テーブルフォトも撮りやすいカメラのサイズ感で周りを気にすることなくシャッターを切れた。

私は仕事では広告写真をメインに撮影している。
広告撮影の場合は「仕組まれた」「作られた」など演出された世界観の中で撮影する事になる。
それに対して街スナップは、演出もなくその土地のリアルな風土や人を写す事が出来る。
その場所で培われてきた歴史や風土と人を掛け合わせた時に生じるエネルギーをキャッチしてシャッターを切るのが好きだ。


パリの街並みはどこを切り取ってもおもしろい。
有名な通りは観光スポットなこともあり、人が多く撮影にはあまり適さなかったが、
一本裏に入ると素敵な路地がたくさんある。
高い建物がなくて路地に落ちる木漏れ日、差し込む光がきれいだ。
パリの街はどんなに小さな道でも名前がついているそうで、それぞれにストーリーがあって素敵だ。

FUJIFILMのカメラは撮影時点で発色、トーンが良い点が愛用している一つの理由でもある。
いずれレタッチはPC上でするかもしれないけれどカメラのモニターで自分の最終出したいトーンに近い色味がわかっているほど撮影時のテンションが上がると思う。
フィルムシミュレーションンも同様で最終的に自分が仕上げたいトーンに極力撮影時に近づけ、視覚的に確認することができる。
それはFUJIFILMのカメラを使う理由の大きなメリットとなっている。
ちなみに私のお気に入りのフィルムシミュレーションはプロネガHiだがポートレートを撮るのにおすすめだ。
今回のパリの旅ではFS1~FS3にノスタルジックネガやクラシックネガを自分で入れて試しながら撮影していた。
撮影して感じたのはパリのクラシックな街並みのスナップにはノスタルジックネガと相性が良かったように思う。
軍艦部にフィルムシミュレーションダイアルがついているのでシームレスに違和感なくフィルムチェンジでき撮影にも集中できた。


今後の夢や目標は、
見た人の心が動くような写真を撮る。
コマーシャルでも同様だ。
長期的な夢にはなるが、”写真の楽しさ。””深さ”を伝えられるような
活動ができたらベストだなと思う。
写真とはライフワークそのものでもあり一生向き合っていくと思っている。

カメラに求める事として機能や画質はもちろん必要だが、X-E5のようにフィルムカメラのような手触りや形、写真を撮ることの本質に振り切って作られたカメラはなかなかないと思う。fujifilmのEシリーズのコンセプトがこのX-E5にひきつがれていると思う。
X-E5は、生活の中に写真がある人のためのパートナーにふさわしいカメラなのではないだろうか。

