GF55mmF1.7 R WR インプレッション
ルナパークはカオスだ。しかし冬になると、そこは一種のワンダーランドに変貌する。時空を超越した世界を秘めたガラス玉は、人を惹きつけ、誘い込む。ルナパークでは綿菓子の甘い空気に包まれ、タルカムパウダーのミストの香りがライドとライドの間のミステリアスな雰囲気を作り出す。
そんな場所で撮影するために私が選んだのがGFX100Sであった。大判カメラは夜間撮影には理想的な選択ではないかもしれないが、新しいGF55mmF1.7レンズの効果で、まさに完璧な組み合わせとなった。
今日もカメラのファインダーを覗きながら、私は迷子になり、夢中になってしまう…まるで子どもの頃、乗ってみたいと思いながら乗り物を眺めていたときのように…。
大判センサーでの焦点距離55mmは、35mmセンサーでの焦点距離44mmに相当する。簡単に言えば、私たちの視野に対応する標準的な焦点距離である。
このような場面にぴったりの焦点距離だと思う。ストリートフォトのようなシーンに視線を奪われることもあれば、その独特さゆえに撮影するのが面白いと感じるよな、ポージングをした被写体のポートレートを撮りたいと駆られることもあるのだから、私には柔軟性が必要なのだ。私が撮影する被写体は決してモデルではない。ストリート写真を撮影するとき、私はランダムさとユニークさがイメージを作り上げたり、数分前まで無名の人物のポートレートが出来上がるような、予定外の知識の引き金になることが好きなのだ。カメラの前に立つことに慣れていない人たちを撮影する機会には、迅速かつ正確な撮影を心がけなければならないが、その点このレンズは数秒あれば理想の結果が得られるという自信を与えてくれる。私はただ彼らの写真を撮り、彼らの本質と自然さを描写できたことを確かめたいだけなのだ。
この新しいレンズを最大限に検証しながら特質をすべて活かしたいと思い、すべてのショットを絞り開放で撮影することにした。ポートレートもそうでないシーンもすべてF1.7で撮影しており、撮影時の精度の高さとファイルの描写の素晴らしさを実感した。
大きな絞りは、こうした光量の少ない状況に適したボケ効果をこれまでにない美的描写で実現する。このレンズが生み出す自然なボケは実に心地よく自然で、特にF1.7で撮影するとその魅力を最大限に味わうことができる。
ピント合わせの速さにも驚いたが、なんといってもこれほどの大口径で撮影するときには通常期待できない、ピントの合っている範囲がどのショットでも正確であることに驚かされた。
点滅するネオンのみで照らされたこれらのシーンは、このレンズによって驚くほど引き立てられて非常に高い解像度が得られる。しかし、最も驚いたのは高ISOでもノイズが少ないことだ。写真的に言えば、このような複雑な状況でこれほどクリーンで清冽な画像が得られるとは思ってもみなかった。
大判カメラを使うことで奥行きが増し、写真の垂直方向の情報量が増えるという利点を楽しめる。4:3 フォーマットは水平方向のイメージを重視する場面にも、垂直方向のポートレートを重視する場面にも適していると思う。
開放F値がF1.7であるため、三脚を使わずに自由に撮影することができる。
この大口径のおかげで、光量が少ない状況でも速いシャッタースピードを維持し、動く被写体を確実に捉えることができる。これらは典型的な夜間のストリートフォトのシチュエーションでは不可欠であり、速いシャッタースピードを維持できることで、どんなイメージも無駄にすることはない。
レンズサイズはGFX100Sとの組み合わせにおいてバランスが取れており、撮影時に十分な快適さを提供し、どのような天候でも期待に違わぬ多用途性を発揮する。夕方には雨が降り始めたが、過酷な条件下でも撮影に適しているためレンズの保護やカバーを心配する必要がないのは嬉しい。
このレンズで撮影された写真の鮮明さと色彩表現に感嘆するのは、まさに眼福である。大判カメラを使うということは、撮影時には考えもしなかったような新たな構図を検討し、必要に応じて画像を大幅にトリミングすることも可能にするということだ。
大判カメラと単焦点レンズを持って家を出る人には最適なレンズだと思う。その多彩な焦点距離によって目の前に起こる様々な状況をうまく捉えることができる。私もこれから頻繁に使うことになるだろう。