GFX ETERNA 55 開発秘話 #2 – センサー

2025.10.08
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GFX ETERNA 55は、GFX 100Ⅱのセンサーをベースにカスタムされている。静止画用カメラとの最も大きな相違点ではファンの有無だ。GFX ETERNA 55は動画用カメラなので、当然連続して画を撮影する。この時稼働し続けるセンサーから熱が発生するが、この熱をしっかりと逃がすことが重要だ。目標は時間の制限なく記録出来ることだった。目標をクリアする為、放熱の金属を多く追加し、静止画用カメラと異なる設計で長回しに耐えうる構造にした。

そして、映像制作用者にとっての使いやすさを追求し、デュアルベースISOは800と3200を、それぞれ固定して制御できる駆動を新たに設計した。またGFX ETERNA 55には、純正のGマウント、PLマウント変換アダプタが付いており、GFX 100Ⅱと同様に様々なレンズと組み合わせることで多様なフォーマットで撮影が出来る。そしてさらに特筆すべき新機能が48fpsのオープンゲートだ。センサーの受光面43.63mm×32.71mmを使って撮影できる駆動モードを新たに設計した。これにより、4:3の高さのある、立体的な画を撮ることが可能になっている。

センサーを動画制作用カメラに適合させる道程の一歩目は、センサーの前に光学ローパスフィルター(OLPF)を入れたことだった。ローパスフィルターが、分かれたRGBのベイヤー配列を綺麗に重ねるようにする効果を発揮し、その情報をセンサーに届ける役目を果たす。フィルムは3層全てにRGBの色情報を乗せているが、このローパスフィルターによってフィルム撮影を疑似的に再現しているということになる。この設計が、モアレや偽色の少ない、柔らかな画の記録を導いている。

次に、ラージフォーマットセンサーに向けた内蔵電子NDフィルターも搭載した。濃度の幅はND0.6~ND2.1。最小2段分から最大7段分、間5段分のシームレスな減光が出来る。GFX ETERNA 55の開発が始まる一年前から他部署の意見も聞き、協力を仰ぎながら何度も試作を重ねていった。減光が滑らかに変調できるところに関しては、0.05段分(ND0.015)の細かさで調節可能。0.05段分というのは、変わった瞬間がほとんど分からない程シームレスに濃度が変えられるレベルである。細かく濃度が調整できるところは、GFX ETERNA 55の長所だ。性能調整の際、個体のばらつき一つ一つに対して細かくセッティングを変えていったことがそれを可能にしている。この工程は静止画用カメラの時から当たり前にやっていることである。サイズ面でも奮闘した。サイズが大きいとどうしても歪みが生まれやすい。画質に影響がなく取り付けるにはどうすれば良いのか検証しながら開発した。

アナログとデジタル両方の知見と経験の積み重ねがGFX ETERNA 55のセンサー開発を成功させた。ぜひローパスフィルターや電子NDフィルターを活かした、動画機ならではの美しい映像表現を体験していただきたい。