
以前から、ラージフォーマットのデジタルカメラを取り入れようという考えは大きくなっていました。

ドキュメンタリー写真家として、小型のアナログカメラとデジタルX-Pro3をポーランド沿岸の長期的な撮影プロジェクトで数年間使用してきました。しかし、35mmレンズを搭載した軽量でコンパクトなGFX100RFと出会い、ラージフォーマットの魅力と他に類を見ないディテールや奥行きをどうしても取り入れたくなったのです。このカメラは、私が好む物語の描き方にぴったりだと感じました。何度も訪れたことのある場所に、このカメラを持っていこうと決めました。新たな視点で見る準備が整ったのです。

何年もの間、夏休みを騒がしい海沿いの町で過ごしました。観光シーズンまっただ中の日常生活で書かる詩を捉えるためにカメラを持ち歩いていました。混雑したビーチからにぎやかなカフェ、アイスクリームのコーンを口にする焼けた肌の家族連れまで、レンズはこれらの儚い瞬間の活気や観光が地域の風景をどのように再形成したかを記録していました。しかし、GFX100RFを持って出た冬の旅は違っていました。観光客は何か月も前にこの地を後にし、悲しみに満ちた静けさが残るのみ。この時期に、静かな風景の美しさ、波と砂の交わり、無限に広がる開放的な空間に焦点を当てることができました。

初めてこのカメラを手にしたときから、まるで自分の一部のように感じられました。(ラージフォーマットにしては)小型で軽く、閑散としたヘル半島の浜辺を歩きながら、楽に持ち運ぶことができました。そして、突然の吹雪を避けるため、ジャケットの下に即座に入れることができました。手に持った際の快適さもさることながら、機能性も持ち合わせています。ショートカットボタンは自然に指先にフィットし、目の前のシーンの焦点を失うことなく、素早く露出設定を調整できます。回転式ダイヤルでフレームフォーマットを容易に変更でき、3:4、3:2、パノラマ、正方形のフォーマットをスムーズに切り替え、それまで思いつかなかった構図も試すことができました。

GFX100RFのおかげで撮影しているシーンに没入し、各フレームの構造を慎重に考える時間を持てたことが、この旅の大きな収穫です。ラージフォーマットは新たな可能性を開き、1枚のショットの中により多くの物語を捉え、フレーム内にある被写体同士の関係を探求することを促してくれました。海と空が織りなす優しい曲線、波の上で輝く光、キャンプ場にあるバーの印象的な幾何学的内装がその例です。

単焦点レンズを用いた作業では制約を感じることはなく、解放感を与えてくれました。どの焦点距離が最適かを考える必要はありませんでした。もちろん、デジタルズームを使うこともできますが、単焦点レンズなので、自然と自ら被写体に近づいたり離れたりするようになりました。レンズの選択肢がないことは制限ではなく、構図に集中するのにプラスの効果をもたらしました。その結果は驚くべきものでした。
GFX100RFは、テクスチャーや光のあらゆるニュアンスを驚異的な鮮明さで捉え、実際のシーンと同じように広がりのある親しみやすい画像を可能にしてくれました。

人けがない漁村や街を歩く中で、夏の喧騒がしばしば覆い隠してしまう静かなディテールに引き寄せられました。葉のない茂みに実る小さな果実、子どもが置いていったおもちゃ、浜辺でたたずむ白鳥、風に舞うリボンなどのディテールです。GFX100RFは控えめで、ありがたく思えました。このカメラは目立たず、シャッター音も静か、デザインはクラシックで、人が私のそばを通りすがっても目を引くことはありませんでした。プロの写真家というよりは傍観者として、静かに光と空間の交わりを記録しているように感じました。

GFX100RFは非常に便利なビューファインダーを搭載しています。ショットのフレームを確認する際には、液晶モニターではなくビューファインダーをよく使用しました。視界に入る無駄な要素を遮り、見ているフレームに没頭することができたからです。これにより、カメラとのつながりが深まり、撮影しているシーンへの没入感も増しました。そして、フレーム内の要素の微妙な関係性にも気づくことができました。

すぐにこのラージフォーマットカメラに慣れ、満足できました。最初は、小さいフレームのシステムから切り替えることに抵抗がありましたが、それも解消されました。このカメラのコンパクトでエレガントなデザインと機能性は使う喜びを与えてくれ、その優れた画質は私の予想を上回りました。1億万画素のセンサーを搭載しているため、編集でのリファインやフレーミングに余裕が生まれ、安心感を持つことができました。
しかし、このカメラの画像は撮影時にすでに求めていた構図で、クリアでシャープ、そして求めていたストーリーを捉えていました。冬の海岸線は、何年もの間撮影してきた活気ある夏のシーンとの明確な対比を写し出していました。風景は感情をリセットしたかのようで、夏の豊かさと瞑想にふける静けさとが入れ替わったようでした。広大で閑散とした浜辺や風が吹き抜ける砂丘によって、視覚的にも感情的にも清められたように感じました。新しいGFX100RFを手に、この孤独を取り込み、画像に写し出すことができました。

GFX100RFは素晴らしいツールであるだけでなく、この旅の終わりには私の伴侶となり友人ともなり、その機能性は周囲の世界を見て捉える能力を高めてくれました。ポーランド沿岸を訪れた冬の旅は、長期プロジェクトの新しい章の始まりであり、カメラと共に調和しながら撮影した貴重な体験となりました。
