X-E5 x Teerapong Petmartsri

2025.08.13
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Photo 2025 © Teerapong Petmartsri | FUJIFILM X-E5 and FUJINON XF23mmF2 R WR, 1/500 sec at F8, ISO 125

X-E5 x Teerapong Petmartsri

富士フイルム X-E5 が再び呼び起こした、写真への情熱 ー 僕の旅路

こんにちは、Oat Teerapongです。もしかしたら「We Die, Photos Remain」という僕の写真ページをご存知の方もいるかもしれません。少し驚かれる名前かもしれませんが、その意味はとてもシンプルです。人はいつかこの世を去りますが、自分が撮った写真やその瞬間は、この世界に残り続けるということ。僕にとって写真とは、記憶を残すこと。訪れた場所で感じた幸せを切り取り、それを目に見えるかたちで未来に託すこと。そんな想いを抱えていた僕がたどり着いたのが、富士フイルム、そして X100VI でした。

X100VIを使い始めた瞬間、「これだ」と感じました。富士フイルム特有の“あのフィーリング”や、旅先での空気感をそのまま写し取ってくれる色調。それらすべてが、自分の求めていたものとぴったり重なっていたのです。ただ、ひとつだけ心に引っかかっていたのが、「レンズが固定されている」ということ。写真の仕上がりには満足していたけれど、旅を続ける中で「もう少し違う視点で撮ってみたい」「構図を変えてみたい」と思うことが増えていきました。もっと広い風景も、もっと近くの表情も、自由に切り取りたい――。そんなふうに何度も思いました。「このままの感覚で、レンズを交換できたらいいのに」と。

そんな僕の願いに応えてくれたのが、富士フイルム X-E5 でした。X100VIが持つ“魂”をそのままに、レンズ交換という自由を手に入れたようなカメラ。まさに、僕の理想にぴったりとハマる一台だったのです。初めてその姿を見たとき、シンプルでクラシックな富士フイルムらしいデザインに、心がぐっと惹きつけられました。あの質感、あの操作感、そして大好きな描写力。そこに、自分がずっと求めていた“レンズを選べる自由”が加わっていたのです。

それが本当に自分にとって理想のカメラなのか、確かめたくて選んだのは、日本・沖縄での風景撮影のロードトリップ。いつもの都会的なシーンや季節感のある被写体ではなく、もっと自然そのものにフォーカスした「もうひとつの日本」を写したいと思ったんです。旅のルートは、沖縄本島の南端から北端までを縦断するかたち。車では行けないような場所にも、カメラを背負って歩いて入りました。そして、沖縄といえば“天気が読めない”ことで有名ですが、今回もその洗礼を受けることに。6日間の旅のうち、晴れたのはたったの2日。あとの日は、ずっと雨でした。

この過酷な環境こそが、X-E5にとっての“本当のテスト”でした。そして、すぐにその軽さと携帯性の素晴らしさに感動することになります。とにかく、持ち運びが楽なんです。険しい道を歩いて秘境に向かうときや、コロコロと変わる天候に対応しなければならないとき、重くてかさばる機材は、ただのストレスでしかありません。でもX-E5は違いました。そのちょうどいいサイズ感と軽さが、僕を物理的にも精神的にも助けてくれて、“重さ”ではなく“構図”に集中できる。写真と向き合うことだけに集中できる、そんな頼もしい相棒だったんです。

でも、今回の旅で一番ワクワクした理由、そしてこのカメラを心から気に入った決定的な理由は、やっぱりレンズ交換ができることでした。その期待は、まったく裏切られませんでした。正直なところ、この旅の間じゅうX-E5を使っていて、「こんなに写真を撮ることが楽しかったのは久しぶりだ」と感じていました。持っていったのは、16mm、35mm、56mm、そして50-140mmのレンズ。そのときの気分や光の具合でレンズを変えるだけで、まるで目の前の景色が違って見える。広角で大きな風景を切り取り、望遠で細部に迫る――表現の幅が一気に広がったような感覚でした。まさに、今の僕の撮影スタイルにぴったりの自由さ。風景写真との相性も抜群でした。

そしてもちろん、富士フイルムといえばフィルムシミュレーション。今回もいろいろ試してみた中で、やっぱり一番のお気に入りになったのは CLASSIC Neg.。そのトーンとコントラストには、自分のスタイルにぴったりと“ハマる”何かがあるんです。しかも驚いたのは、CLASSIC Neg.で撮った写真の多くが編集なしでもすでに完成していたこと。撮ったままで、もう十分に気に入った仕上がり。現像に時間をかけるより、もっと撮って、もっとその場所を感じたかった自分にとって、それは大きな魅力でした。それこそが、僕が写真に求めていることなんです。

写真の写りだけじゃない。このカメラは、手にしたときの「しっくり感」も格別でした。新しいグリップは、より大きく、より安定感のあるデザインになっていて、明らかにホールド感が向上しています。長時間の撮影でも疲れにくく、1日中持ち歩いていてもストレスがないんです。そして正直に言うと――このデザイン、かなり気に入っています。もちろん性能も素晴らしいけれど、それ以上に「カメラそのものが絵になる」って、ちょっと嬉しいですよね。撮られる側の小道具としても成立してしまうほど、美しい一台です。!

沖縄の旅を通してじっくりと使い込んだ今、富士フイルム X-E5 に対する僕の印象は、ただひとつ——「最高だった」という言葉に尽きます。富士フイルムならではの描写力、空気感、色のトーン。撮って出し(SOOC)でここまで満足できる画が得られるだけでも嬉しいのに、そこにレンズ交換という自由が加わって、しかも軽くて持ちやすいボディにすべてが詰まっている。欲しい写真が撮れるだけじゃない。その過程までも、また楽しいと感じさせてくれるカメラでした。

もし、あなたが同じようなカメラを探しているなら、僕から言えるのはひとこと――「ぜひ一度、手に取ってみてほしい」ということ。X-E5は、僕にとって“幸せな一瞬”を確かに残してくれる道具。そしてその写真たちは、これからもずっと、僕の記憶とともに残り続けてくれると信じています。