
開発秘話vol.05原点に立ち返る新しい撮影体験の提案
フィルムからデジタルへと写真の中心が受け継がれていくとき、大切な何かが失われたのではないだろうか。
一つ目は撮影プロセスの楽しさ。
効率を求めてミスを恐れ、結果を求めるがあまり、撮影そのものが持つ楽しさを過小評価していないだろうか?
美しいと感じるもの、大切だと思うものを愛でながら、カメラを通じて世界と深く関わるための方法。それが撮影体験であり、その価値を大切に考えたい。


ダイヤルの手触りと滑らかなトルクを感じながら、カメラと対話するように絞りや露出補正を変えると、意図が写真に反映されていく。カメラとの共同作業により世界はもっと美しく見えるはずだ。
ユーザーインターフェース(UI)も本機のキャラクターに合わせて開発された。4:3のフォーマットに対して3:2のLCDが採用され、左右のスペースにファインダー情報を集中。アスペクト比に応じて撮影範囲外を半透明やラインで表示するサラウンドビュー機能によりフレーム外を参照しながらの撮影が可能。被写体に深くコミットして撮影できるようサポートする。

カメラ軍艦に多数配置されたダイヤルやレバーなどの操作系の感触とトルクは、高い工作精度によって成り立ち、指先の操作を通じ身体いっぱいに喜びが広がり心を満たしていく。そうして写真を向上させていくモチベーションへと繋がって欲しい。

Photo by Jonas Dyhr Rask
撮影プロセスの他に、もう一つデジタル化で過小評価されたものがある。シャッターを切るという行為の意義だ。
撮影プロセスによって高められた心が、シャッターを切るその瞬間にピークを迎え、すべてが凝縮して完結されて永遠になる。それが写真の素晴らしさだ。しかし、ポストプロダクションを過大に評価するがあまり、シャッターを切る瞬間が持つ意味が薄れてしまったかもしれない。

Photo by Reuben Wu
アスペクト比切換ダイヤルによるアスペクト比の選択は、それを取り戻そうとする提案だ。世界を美しく見る窓の形を、撮影者が選択できるものとして考えていく。アスペクト比は歴史が作り上げた遺産であり、写真の印象を決定づける重要な要素で、富士フイルムはこれまでGA645(アスペクト比3:4)、TX-1(同65:24)、GW617(同17:6)などバラエティに富んだカメラを製造してきた。アーカイブは思想と共にGFX100RFに引き継がれ、新たに17:6, 3:4を加えGFXシリーズ最多※1となる合計9種類のアスペクト比を選択することができる。
※2025年3月20日時点

トリミングやRAW現像では満たされることのない、撮影プロセスの楽しさと、それが昇華されるシャッターを押す瞬間の持つ意義。写真が人々を魅了してきた本質へと立ち返ろうとGFX100RFは提唱する。


