ACROS FS RECIPE x Allan Steele-Dadzie

ACROS FS RECIPE x Allan Steele-Dadzie

2026.02.20

街角に宿る魂を映すAllan Steele-Dadzieの時代を超えたACROS FSレシピ 

写真家のサインとは、単なるスタイル以上のものだ。それは、一枚のフレームに込められた個人的な視点であり、背景や経験によって形作られる。フィラデルフィアを拠点に活動する写真家、アランは、詩人としてのバックグラウンドを持ち、その視点は常に明確だった。 

「レンズを通して、自分のアーティスティックな声を、揺るぎなく、はっきりと聞きたい」 

彼はそう語る。そのビジョンを具体的な映像表現へと昇華させるために、彼は伝説的なフィルム「ACROS」をベースにした、独自の黒白FSレシピを生み出した。このFSレシピがどのようにして誕生し、時代を超えた感情豊かなストリートフォトグラフィーの質感を生み出すのか——その物語がここにある。 

Photo 2025 © Allan Steele-Dadzie | FUJIFILM X-E5 and FUJINON XF14mmF2.8 R, 1/3500 sec at F5.6, ISO 1250

モノクロームで描くフィラデルフィアの姿 

アランの創作の核には、詩人としてのバックグラウンドが深く根付いている。彼にとって、物語を紡ぎ出す本能や感情は、自然と写真表現へとつながっていく。そんな彼の情熱は、フィラデルフィアの街角へと彼を導いた。そこで彼は、特に見過ごされがちな場所に宿る物語を丁寧に伝える責任を感じたという。 

「自分の街の片隅に、あまりにも頻繁に見過ごされてきた、あるいは雑に語られてしまっている物語があることに気づいたんだ」とアランは振り返る。 

彼の作品は、センセーショナルな演出を求めるものではない。むしろ、深い繋がりを求める観察であり、世界に対する問いかけだ。被写体に向き合うとき、彼は強い意志を持っている。 

「人々が当たり前のように信じてしまう、人間らしさを奪う偏った考え方を打ち壊すことが僕の目標だ」と語るアランにとって、写真という使命は極めて個人的なものだ。「本物であることこそが、僕の羅針盤だ」と彼は言う。「それは、自分自身が経験してきた困難を映し出す物語へと、僕を導いてくれる」。 

Photo 2025 © Allan Steele-Dadzie | FUJIFILM X-E5 and FUJINON XF23mmF1,4 R LM WR, 1/2000 sec at F2.2, ISO 125

ACROSのFSレシピで築く独自のスタイル 

アランが最新の都市プロジェクトで生み出したのは、「Black Ice」と名付けたFSレシピだ。これまでカラー作品で知られてきた彼にとって、この新たな試みは新鮮な視点であり、自身も大いに胸を躍らせている。 

「Black Ice」の基盤となっているのは、アランがクラシックな白黒フィルム写真において最も大切にしている三つの要素だ。コントラスト、粒状感、そしてシャープなディテール。彼はこれらが融合することで、「時代を超えた普遍的な質感」が生まれ、どの時代にも属しうる一枚のフレームが完成すると信じている。 

このFSレシピは、アランにとってフィラデルフィアの歴史的な中心地をより深く彷徨うための道具となった。ネイビーヤードからリッテンハウススクエアまで、彼のレンズはクラシックでありながらも今この瞬間を切り取るような、そんな写真を生み出している。 

Photo 2025 © Allan Steele-Dadzie | FUJIFILM X-E5 and FUJINON XF35mmF1.4 R, 1/55 sec at F10, ISO 160

白黒の世界に宿る街の魂を求めて

白黒で表現することは、アランにとって意図的な選択だ。その決断には、明瞭度と深い繋がりを求める思いが込められている。 

「モノクロームの写真は、心のざわめきを静めてくれる」と彼は語る。「過剰に分析しようとする衝動を取り除き、代わりにもっと深いもの――純粋な感情をもたらしてくれるんだ」 

この手法は、内省的でありながらも、時に色彩が生み出す視覚的な雑音から解放されたトーンを生み出す。アランにとって、それは観る者と時代を超えた直接的な繋がりの扉を開く鍵となっている。 

Photo 2025 © Allan Steele-Dadzie | FUJIFILM X-E5 and FUJINON XF23mmF1.4 R LM WR, 1/2000 sec at F4.5, ISO 160

モノクロームの視点 

FUJIFILM X-E5にカスタムのFSレシピを施し、アランは自らの街の歴史ある街並みを探求した。彼のビジョンは単に場所を記録することにとどまらず、その土地の遺産とつながり、存在するだけでなく何かを伝える写真を生み出すことにある。アランにとって写真とは、心と意識を変える力を持つ「変革の触媒」であり、その思いを胸に毎回シャッターを切る。一枚一枚のシャッターは、感謝の行為でもあるのだ。 

このプロジェクトを通じて、アランはさらにFSレシピを追求し、感情や質感が重要なより高度な作品にも活用し始めている。彼の目標は、単に瞬間を記録するだけでなく、「感情をもってその瞬間を保存する」ような作品を生み出すことなのだ。 

アランのモノクロームで描くフィラデルフィアの街並みは、写真が観察の道具であると同時に、彼が日々街角で見つける美しさを世界に伝える手段であるという信念の表れである。 

Photo 2025 © Allan Steele-Dadzie | FUJIFILM X-E5 and FUJINON XF8mmF3.5 R WR, 1/640 sec at F5.6, ISO 125

FSレシピの重要性

アランのフィラデルフィアを巡る旅は、ビジョンの力を示しています。彼が生み出したFSレシピ「Black Ice」によって、自身の声を独自のモノクロスタイルに昇華させ、街の魂を写し取ることができた。 

彼の物語は、フィルムシミュレーションがXシリーズやGFXシステムのカメラを単なる機器から創造的なパートナーへと変える力を持つことの証だ。これにより、写真家は自分の感情をそのままフレームに映し出すことが可能になる。 

Photo 2025 © Allan Steele-Dadzie

Allan Steele-DadzieのFSレシピ「Black Ice」

FILM SIMULATION: ACROS+Ye
MONOCHROMATIC COLOR: N/A
GRAIN EFFECT: STRONG, SMALL
COLOR CHROME EFFECT: OFF
COLOR CHROME FX BLUE: OFF
SMOOTH SKIN EFFECT: OFF
WHITE BALANCE: AUTO
DYNAMIC RANGE: DR200
D RANGE PRIORITY: OFF
TONE CURVE: H +1.5, S +2.5
COLOR: 0
SHARPNESS: +2
HIGH ISO NR: -2
CLARITY: 0