X-E5 x FSレシピ: Davide Gazzotti

X-E5 x FSレシピ: Davide Gazzotti

2025.12.15
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世界の流れに身を委ねる

私の写真へのアプローチは、ゆっくりと環境に溶け込んでいくことです。
撮るという行為は、ただ観察することではなく「感じること」。その場の空気をつかみ、音に耳を傾け、空間のリズムを捉えるー私にとって撮影とは、そんな“存在すること”そのもののプロセスなのです。

日々の忙しさの中で見落としてしまいがちな小さな気配に注意を向けることでもあります。

一枚の写真は、私の内側で感じたことを表現したいという願いから生まれます。写真は世界の形を捉えることはできても、その“魂”ー視覚を感情へと変える火花ーまでは必ずしも写し取れません。

FUJIFILM X-E5 に搭載されたフィルムシミュレーションダイアルのおかげで、私は日常の中で感じたものを、直感的かつ自然に写真として表現することができます。フィルムシミュレーションと細かな設定を組み合わせた、自分だけのフィルムシミュレーションレシピを3つまでカメラに登録しておき、ダイアルを回すだけで瞬時に切り替えられるのです。

このシンプルさが、創造のプロセスを自由にしてくれます。コンピューターの前で過ごす時間は少なく、カメラを手にしている時間はもっと長くなるのです。

三つのレシピ、それは三つの世界の捉え方

このプロジェクトは、3つのFSレシピを通して、さまざまな空気感がもたらす“感情の状態”を探求したいという思いから生まれました。
それは、私が世界をどのように感じ取っているか、その一端を示す試みでもあります。

FS RECIPE: Aurea

Aureaは、私の写真においてしばしば主役となる“太陽の温もり”を讃えるために生まれました。
影の濃さと美しい暖色を持つNostalgic Neg.をベースとし、そこに色温度や彩度を微調整することで、より奥行きのある表現を目指しました。Aureaは、日常を照らし、生き生きとさせる光――見慣れた風景を温かく変えてくれる存在です。
都市の風景にもポートレートにも向いており、肌のトーンと黄金色の光を美しく描写してくれます。

FILM SIMULATION:NOSTALGIC Neg.
MONOCHROMATIC COLOR:N/A
GRAIN EFFECT:WEAK, SMALL
COLOR CHROME EFFECT:WEAK
COLOR CHROME FX BLUE:WEAK
SMOOTH SKIN EFFECT:OFF
WHITE BALANCE:AUTO AMBIENCE PRIORITY/ R 4, B-5
DYNAMIC RANGE:DR400
D RANGE PRIORITY:OFF
TONE CURVE:H -1.5, S 0
COLOR:+2
SHARPNESS:-4
HIGH ISO NR:-4
CLARITY:0

FS RECIPE: Eternal

Eternaは、より深みのある色、より多様な色表現を求めて生まれたレシピです。
ややクールで彩度控えめなCLASSIC CHROMEを出発点に、ホワイトバランスを丁寧に調整し、柔らかく夢のようなパステル調の世界を目指しました。ここでは、すべての色が自分の居場所を見つけ、静かに響き合います。Eternalは、時間がゆっくりと流れる午後の静けさ、感情が一瞬だけ宙に浮かび、やがて記憶になるような感覚――そんな情緒を表現します。
3つの中で最も汎用性が高く、都市にも自然にもよく馴染みます。

FILM SIMULATION:CLASSIC CHROME
MONOCHROMATIC COLOR:N/A
GRAIN EFFECT:STRONG, SMALL
COLOR CHROME EFFECT:STRONG
COLOR CHROME FX BLUE:WEAK
SMOOTH SKIN EFFECT:OFF
WHITE BALANCE:5550K/ R 1, B -4
DYNAMIC RANGE:DR400
D RANGE PRIORITY:OFF
TONE CURVE:H -1, S -1.5
COLOR:+4
SHARPNESS:-4
HIGH ISO NR:-4
CLARITY:0

FS RECIPE: Crepuscolo

3つ目のCrepuscoloは、先の2つとは対照的に、より内省的で包み込むようなトーンを求めたところから生まれました。
それは、心の中の対話、ひとときの思索を感じさせる美学です。 ここでもNOSTALGIC Neg. をベースにしつつ、ホワイトバランスをブルー寄りに調整し、シネマティックで瞑想的な雰囲気を引き出しています。
光が薄れ、世界が静まりゆく瞬間――そんなときにふさわしいレシピです。

FILM SIMULATION:NOSTALGIC Neg.
MONOCHROMATIC COLOR:N/A
GRAIN EFFECT:STRONG, SMALL
COLOR CHROME EFFECT:STRONG
COLOR CHROME FX BLUE:WEAK
SMOOTH SKIN EFFECT:OFF
WHITE BALANCE:AUTO AMBIENCE PRIORITY/ R -4, B 0
DYNAMIC RANGE:DR400
D RANGE PRIORITY:OFF
TONE CURVE:H -1, S -1.5
COLOR:+2
SHARPNESS:-2
HIGH ISO NR:-4
CLARITY:0

場所と感情をめぐる旅

このプロジェクトは、モデナからコモ湖へ、都市と自然のあいだを行き来する旅でもあります。
街の躍動、湖の静けさ、山々の反映――それぞれの場所が心の風景として立ち上がり、各レシピがそこに流れる感情を解釈する手段となります。

コンパクトで機動力のあるFUJIFILM X-E5は、視線の延長のように自然に手に馴染みます。
そして何より、色再現こそがその真価を示します。調和があり、深みがあり、自然で、瞬間の感覚をありのままに伝えてくれる色。
この繊細な色感覚に導かれて、フィルムシミュレーションとFSレシピは、私の創作過程をよりシンプルに、そして意識的なものにしてくれました。

今では、写真はただ“撮る”ものではありません。
撮影したその瞬間に“体験”し、カメラ内で仕上げまで含めて表現できるものとなりました。

「立ち止まる」というアート

絶えず動き続ける世界の中で、写真は私に、どんな瞬間にもアートや感情、意味があることを思い出させてくれます。
カスタマイズ可能なFSレシピによって、Fujifilmは再びそのメッセージを投げかけてくれていますーもっと直感的に写真を楽しみ、感覚に耳を澄ませ、色と光で自己表現をするということ。

一枚の写真、一つのプロジェクトは、今この瞬間と再びつながるための行為です。
立ち止まり、よく見ること。
本当に見るべきものを見つけ、シンプルな中に美しさを見出すこと。

それは、写真が与えてくれる大切な“招待状”なのです。