ACROS FS RECIPE x Alex Liverani

ACROS FS RECIPE x Alex Liverani

2026.02.20

ACROSー空想

写真を何よりも愛していると信じていますが、この本能的で深く結びついた関係の中で、私がこの職業で最も苦手とするのは、間違いなく撮影後の編集や仕上げの工程です。プロの写真家として20年以上活動してきましたが、依頼された仕事と仕事の合間のわずかな時間、ようやく自分の写真に没頭できる時、私はシンプルさ、即時性、そして即興性を切望します。しかし、それらの要素は作品自体の質を損なってはなりません。

2016年から富士フイルム製品を使い続けていて、このブランドに愛着を持つ理由は数えきれないほどあります。しかし、フィルムシミュレーションこそが私を完全に魅了した決め手だったと確信しています。

カラー写真で仕事することが多いものの、時折、周囲をモノクロで視覚化したい衝動に駆られます。それは、写真史においてストリート写真の基礎を築き、私に影響を与えてくれた巨匠たちに近づきたいという思いからであり、同時に、夢のようで超現実的な雰囲気を再現するためでもあります。

極めてシンプルに、新しいFUJIFILM X-E5でフィルムシミュレーションダイヤルを回すと、ACROSの「A」にたどり着きました。その瞬間、私の視界は現実の空想へと変わりました。カメラのファインダー越しに広がる景色は、時を超えた世界のビジョンへと私を誘います。その深みと輝きは、銀塩プリントの優雅さと重厚さを想起させます。

ACROSは、空間の完璧さと人間の静かな存在感が融合する、最小限で思索的な構図に理想的なフィルムシミュレーションです。ジョルジョ・デ・キリコの絵画を思わせる、夢のようで形而上学的な視覚世界を生み出します。描かれたような光景は、神秘性、不安、疎外感を喚起します。素材の一貫性を際立たせ、様々な表面に映る光のあらゆる陰影を引き立てるのに適したシミュレーションです。このプロジェクトでは、ACROSのGフィルターを選んだことに加え、新たなFSレシピを作成して撮影設定を変更、そのFSレシピを「METAPHYSICAL NOIR」と名付けました。アナログフィルム写真では、レンズの前にカラーフィルターを装着してモノクロ写真を作成するのが一般的な手法でした。

今日ではあらゆるものが簡単になりました。デジタル写真で好みのカラーフィルターを適用する手法を、富士フイルムのフィルムシミュレーションは現代的で直感的な形で継続しています。G(グリーン)フィルターを適用しましたが、これは特にポートレート撮影に適しています。肌の赤みを抑え、唇を暗くすることで、顔の他の部分が自然に見えるよう整えます。アナログ写真ではリアルタイムで効果を確認できないのに対し、フィルムシミュレーションなどのデジタルフィルターは瞬時に反映され、カメラから直接確認できます。電子ビューファインダーで効果をプレビューすることで、好みのフィルムシミュレーションを選択することが可能です。

私のFSレシピ「Metaphysical Noir」は非常にシンプルですが、シンプルさこそが効果の代名詞となることも少なくありません。個人的な美的感覚に基づき、グレイン・エフェクトの強度を弱、サイズを小に設定することで、その効果を調整しました。粒状感は画像に昔ながらの味わいの余韻を与えるのに役立ちますが、同時にそれがあまりに目立ちすぎるのも避けたいです。今回選んだこのオプションは、優れた妥協点だと確信しています。

FSレシピで加えたその他の変更点はトーンカーブセクションのみです。ハイライトに+1または+2を適用し、写真の明るい部分に美しい白点を表現しました。またシャドウには+3または+4を適用し、異なる証明の領域間のコントラストを強調しました。

深い黒と繊細なハイライトを備えた画像は、優れた立体感をもたらすと同時に、あらゆるニュアンスにおいて極めて豊かな階調表現を実現しています。

FUJIFILM X-E5とFUJINON XF23mmF2.8 R WRレンズ、そしてACROS G フィルムシミュレーションとFSレシピ「Metaphysical Noir」の組み合わせは、日常の瞬間を視覚的な比喩や空想へと昇華させる完璧な組み合わせを表しています。