Reinis Hofmanis
(ラトビア)Reinis Hofmanis(1985年生まれ)は、社会人類学的なアプローチで知られるラトビアのアーティスト兼写真家で、社会集団とその環境への影響を調査している。彼はドイツ・ハノーファーで写真を学び、ラトビア美術アカデミーで視覚伝達の修士号を取得した。また、2012年にArchifotoの主要賞を受賞し、2013年にソニー・ワールド・フォトグラフィー・アワードの建築部門で2位を獲得。彼の作品は、ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、シュピーゲル、ツァイト・マガジン、エスクァイア、ブルームバーグ、ル・モンド、ザ・グローブ・アンド・メール、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィーといった出版物に掲載されている。
Shared Horizon
私は、バルト三国における物理的および精神的な境界と、それによって形成される社会の内部の分断を探求することを目指している。ロシア国境からほど近いラトガレでの子供時代と、現在の地政学的状況に触発されたこのプロジェクトは、ラトビアとロシアの283.6 kmに及ぶ国境のような具体的な境界だけでなく、我々の社会に存在する心理的な境界も調査する。こうした境界がアイデンティティや所属感にどのように影響を与え、日常生活にどのような広範な影響を及ぼすのかを探ることで、外部と内部の分断が個人や集団の経験にどのように影響を及ぼしているかという複雑なダイナミクスに関する洞察を提供したいと考えている。

BTS Footage
選考員からのコメント

佐藤正子
世界情勢が不安定さを増す中、国境が象徴する“border”という概念はより重要な問題となっている。この問題に直面せざるを得ない国ラトヴィア出身のReinis Hofmanisのプロジェクトは、歴史的、地政学的事実に基づく現代の”border”に対する概念を、強いイメージによって提示してくれるに違いない。
Gallery

アデーゼ教区、ロシア国境に新たに設置されたフェンス。2025年3月。 ©Reinis Hofmanis

国境警備隊が巡回する湖にかかる仮設橋。以前は巡回に際して湖をぐるりと歩かなければならなかった。2025年3月。 ©Reinis Hofmanis

メルナヴァ学校公園 ©Reinis Hofmanis

ゴリシェヴァの自宅前に立つアナトリイス。この地では、ほぼすべての家の庭が高いフェンスで囲まれている。ここはロシアとの国境に近い村で、かつては国境検問所があった。 ©Reinis Hofmanis

ヴィラカ中学校の校庭で行われた専門のインストラクターによる防衛教育の授業。ヴィラカ、2025年5月。高校での軍事訓練が義務化される前から導入した初期の学校の一つである。©Reinis Hofmanis

ロシア国境から数メートルの距離にある手入れの行き届いた庭園。ゴリシェヴァ、2025年5月。 ©Reinis Hofmanis

ラトビアで2番目に大きい難民申請者収容施設「リエプナ」の校庭でサッカーをする難民たち。リエプナ、2025年3月。 ©Reinis Hofmanis

有名なロシア民話に登場する、ソビエト時代のオブジェ ー キツネとツル ― が道路脇に立っている。物語では、キツネが平たい皿に食べ物を盛り、ツルが食べられないようにする。翌日、ツルは細長い壺に食べ物を入れ、キツネが食べられないように仕返しをする。この話の教訓は「自分がしてほしいように、他人にも接しなさい」というもの。 ©Reinis Hofmanis

国境沿いに建つサウナ小屋。土地の所有者によれば、フェンスの向こう側に見える家にはかつて祖母が住んでいたという。ヴィラカ地区、2025年5月。フェンスが小川へのアクセスを遮ったため、サウナは現在使われていない。小川はサウナの後に涼む場所だった。 ©Reinis Hofmanis

ロシア国境から数百メートルの場所にある廃屋の内部。ゴリシェヴァ、2025年5月。 ©Reinis Hofmanis

茂みの中でツリーハウスを作っている子どもたち。背景にはリェプナのソビエト時代の住宅が見える。 ©Reinis Hofmanis

モーテルの内部。オーナーの夫は元軍人(左にあるのは彼の自画像)であり、独学で絵を学んだ画家である。タペストリーの下には武器のコレクションとソ連時代のパスポートが置かれている。2025年3月22日。 ©Reinis Hofmanis

テキスタイル・アーティストのアネレ・スリシャネは、家族と6人の子どもたちと共に、国境からわずか数百メートルの場所、ヴィリャカ自治体のウピーテに暮らしている。背景に見える森は、すでにロシア領内にある。 ©Reinis Hofmanis

ラトガレ地方の多くで見られる、人通りの少ない道端の祠の中にある十字架像。国境地帯の住民はラトビア人、ポーランド人、ロシア人といった国籍よりも、カトリック、正教会、古儀式派といった宗教的帰属によって自分を認識することが多い。 ©Reinis Hofmanis

道路沿いに設置された「ドラゴンの歯」として知られる軍事施設。ピエドルハ、2025年3月。 ©Reinis Hofmanis

国境地帯の農場の家畜。家畜の飼育や農業は、この国境地域で最も一般的な職業のひとつである。カルニエシ教区にて。 ©Reinis Hofmanis

ロシア国境沿いに並ぶ養蜂箱(ヴィリャカ地区)。道中出会った養蜂家によれば、国境を越えてきたクマが彼の複数の養蜂場を荒らしたという。 ©Reinis Hofmanis

ロシアとの国境はゴリシェヴァにある。フェンスの向こうに見える森はロシア領である。2025年5月。 ©Reinis Hofmanis

小さな村ドヴィエテで焚き火を見守っている父。私は子供の頃の大半をドヴィエテで過ごし、この場所にはとても特別な思い出がある。 ©Reinis Hofmanis

道路沿いに設置された防衛施設。カールサヴァ、2025年2月。 ©Reinis Hofmanis

ゴリシェヴァの住民のキッチンの窓からの眺め。わずか数百メートル先にロシアの国境フェンスが見える。 ©Reinis Hofmanis